基本情報技術者試験に合格するためには、自分のレベルや目的に合った参考書を選ぶことが最も重要です。しかし、書店やネット上には無数の参考書が並び、「どれを選べば良いのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか?
この記事では、2025年最新の試験傾向に対応したおすすめの参考書を読者のタイプ別や科目別に分類してご紹介します。独学者や初心者でも効率よく学べるよう、比較表や選び方のポイントも網羅しています。
基本情報技術者試験の概要
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験はITに関する基礎知識と技術力を証明するための国家試験です。
情報処理推進機構(IPA)が主催しており、難易度はレベル2に位置付けられている事からITエンジニアの登竜門とされています。
試験に合格する事でIT分野の基礎力がある事を客観的に示す事ができ、就職や転職にも活用する事ができます。
参考: IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「試験区分一覧」より
試験制度
試験は以下の通りです。
科目A試験と科目B試験から構成されており、両試験ともに60%以上得点を重ねる事で合格となります。
項目 | 科目A試験 | 科目B試験 |
---|---|---|
試験時間 | 90分 | 100分 |
合格基準 | 60%以上 | 60%以上 |
解答方式 | 四肢択一(マーク) | 多肢選択式(記述なし) |
基本情報合格のメリット
基本情報技術者試験に合格することで、IT分野の基礎知識とスキルを身につけている事を客観的に証明できます。
キャリアアップや転職活動、新卒での就職活動においても強いアピール材料となるでしょう。
キャリア形成に役立つ情報をまとめた記事も以下にご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


参考書選びのポイント
基本情報技術者試験に合格するためには、参考書選びが非常に重要です。ただ安易に人気のある本を選ぶのではなく、自分の目的やレベル、試験の最新傾向に合った一冊を選ぶことが基本情報合格への近道となります。
特に以下の4つのポイントを意識して参考書を選ぶことで、より効率的な学習が可能になります。
①最新の試験傾向に対応している事
②自分の知識レベルに合った参考書を選択する事
③科目Aと科目Bそれぞれ参考書を購入する事
④合格者の声を参考にする事
①最新の試験傾向に対応している事
2023年4月の試験制度改定により、次の通り基本情報技術者試験は大きく変化しました。
午前・午後の2部構成だった試験が、現在では「科目A」と「科目B」の2科目制へと移行し、試験時間・問題数・採点方法まで大きく見直されています。
特に科目B試験(旧午後試験)の出題内容は大きく変わっているので注意が必要です。
項目 | 変更前 | 2023年4月以降 |
---|---|---|
試験実施日 | 年2回(春・秋) | 通年で受験可能(CBT試験形式) |
試験区分 | 午前試験/午後試験 | 科目A試験/科目B試験 |
試験時間 | 午前:150分 午後:150分 | 科目A:90分 科目B:100分 |
問題数 | 午前:80問 午後:11問(そのうち5問解答) | 科目A:60問 科目B:20問 |
採点方法 | 素点方式(1問1点) | IRT方式(出題難易度に応じて採点) |
科目A試験(旧午前試験)の出題内容 | テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の広範囲 | 領域ごとの出題バランスに変動はあるが、大きな変更なし |
科目B試験(旧午後試験)の出題内容 | 言語形式はC・Java・Python・アセンブラ等から選択 アルゴリズム・セキュリティに偏らない出題内容で構成 | 擬似言語に統一 アルゴリズム8割・セキュリティ2割の構成で出題 |
上記の表のとおり、2023年度4月以前の古い参考書を使ってしまうと、現在の試験にそぐわない情報を学習してしまう可能性があります。また、なるべく最新のシラバスに準拠している参考書を選択する事で、最新の出題傾向により近い対策を実施する事が可能です。
効率的に合格を目指すためには、「2023年度4月以降の試験制度への対応」と「最新のシラバスに準拠している事」の2点に注意して参考書を選択しましょう。
②自分の知識レベルに合った参考書を選択する事
同じ参考書でも、初心者にとっては難解すぎたり、逆に経験者には物足りなかったりする場合があります。例えば、文系出身でITの基礎知識が全くない方にとっては、イラストや図解が豊富な「キタミ式」や「かやのき先生」シリーズが適しています。一方で、ある程度の知識を持っている方やIT業務に携わっている社会人には、実務的な観点から丁寧に解説された「合格教本」や演習重視の「パーフェクトラーニング」などがマッチします。
自分の現在の知識レベルを客観的に把握し、それに合った参考書を選ぶ事が効率的な合格への鍵です。
③科目Aと科目Bそれぞれ参考書を購入する事
基本情報技術者試験は「科目A」と「科目B」に分かれており、それぞれの出題傾向や必要なスキルが大きく異なります。そのため、両科目をバランスよく対策するに別々の参考書を用意する事を推奨します。
科目Aは「広く浅く」知識を網羅する必要がある
科目Aでは、ITの基礎知識全般が60問出題されます。情報セキュリティやネットワーク、データベース、マネジメント、法律など幅広い分野が対象で、用語の意味や概念を理解していることが求められます。初心者やITに不慣れな方は、体系的に知識を学べる参考書が必須です。図解や具体例を通して「言葉の定義」や「背景知識」を整理することで、得点源を広げることができます。
一方で、既にIT知識を持っている方や実務経験が豊富な方であれば、科目Aは過去問のみで対応できる場合もあります。そのような方は無理に参考書を買わず、過去問演習を中心に効率よく対策するのがよいでしょう。
科目Bは「深く考える」特化対策が重要
科目Bでは、アルゴリズムやセキュリティに関する20問がすべて必須で出題され、出題形式は擬似言語による小問形式に統一されました。単なる暗記ではなく、論理的な思考力やプログラム構造の理解が問われます。
アルゴリズムや疑似言語に慣れていない人にとって、いきなり問題集を解こうとしてもつまずきやすく、理解が浅いままでは合格が難しくなります。そこで、科目B専用のトレーニングブックや演習書を使って、段階的にスキルを身につけることが重要です。
④合格者の声を参考にする事
実際に試験に合格した人の体験談やレビューは、参考書選びにおいて非常に貴重な情報源です。特に独学者の場合、他人の成功パターンを参考にして同じように進めることで、迷いや不安を軽減することができます。本サイトでは多くの方の合格体験談を掲載しているので、ぜひどんな教材を利用して合格に至ったのか参考にすると良いでしょう。
合格者31人が選んだ!おすすめ参考書ランキング
ここから先は実際に基本情報に合格した31人への投票結果を元におすすめの参考書を紹介します。
ぜひ参考書選びの参考材料として活用してみてください。
【1位】アルゴリズム×疑似言語トレーニングブック(8票)

ポイント:科目B試験対策に特化。アルゴリズム問題が苦手な人におすすめの参考書。
基本情報技術者試験の科目B対策に特化した演習形式の参考書です。アルゴリズム分野の擬似言語に不慣れな人でも理解できるよう、手書きでトレースしながら学べる構成が特徴です。順次処理や繰り返し、スタック・キュー、木構造など、頻出のアルゴリズム分野を体系的に学べます。各問題には図解と丁寧な解説がついており、独学でも安心して取り組めます。
科目B試験に苦戦している方にお勧めの参考書です!
【2位】かやのき先生の基本情報技術者教室(6票)

ポイント:科目A対策に効果的。ストーリー仕立ての分かりやすい構成で初心者におすすめの参考書。
基本情報技術者試験の科目A対策として高く評価されている定番の教科書型参考書です。図解やイラストを多用し、ITに不慣れな人でも直感的に理解しやすい構成になっています。各章にはストーリー仕立ての会話形式が取り入れられており、専門用語の多い内容でも親しみやすく学習を進めることができます。出題範囲を網羅しながらも、重要ポイントを絞って解説しているため、効率よく得点力をつけられます。特にIT初心者や文系出身の受験者にとって、最初の一冊として非常におすすめの参考書です。
【同率3位】いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集(5票)

ポイント:学習効率を重視する方におすすめの参考書
初心者や短期間での合格を目指す方に最適な「教科書+問題集一体型」の参考書です。出題範囲を網羅しながらも、重要なポイントを厳選し、見開きで「解説+例題」が完結する構成になっており、テンポよく学習を進めることができます。イラストや図解が豊富で、難しい専門用語もやさしい言葉で丁寧に説明されており、独学でも理解しやすいのが特徴です。章末には出る順に整理された演習問題が用意されていて、知識の定着とアウトプットも同時に行えます。忙しい社会人や時間のない学生にもおすすめできる、効率重視の実践型参考書です。
【同率3位】情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者(5票)

ポイント:出題頻度の高い問題を重点的に効率よく学習したい人におすすめの参考書。
出題頻度の高い重要ポイントに絞って解説された効率的な参考書です。巻頭には「矢沢メソッド」と呼ばれる学習法ガイドがあり、短期合格を目指す学習者に嬉しい構成になっています。文章は初心者にもやさしく丁寧で、図表や練習問題も豊富に掲載されており、理解しながら進められます。午前と午後のどちらも網羅しており、短期間で効率的に得点力をつけたい学習者に最適な1冊です。また「出るとこだけ」シリーズでは、科目Aに特化した参考書と科目Bに特化した参考書もあるので、学習したい範囲を踏まえた上で購入を検討しましょう。
【5位】キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者(4票)
ポイント:科目A試験対策に効果的。イラストや図解で学びたい初心者におすすめの参考書。
初心者や視覚的に学びたい人にぴったりのイラスト重視の参考書です。マンガタッチのイラストや図解が豊富で、ITに苦手意識がある方でも楽しく学べる構成です。専門用語や用語の定義も、イラストと一緒にやさしく説明されており、記憶に残りやすい工夫が施されています。章末には「確認問題」があり、学んだ内容をその場でチェックできる仕組みです。科目A全体をわかりやすく整理したい方、特に初めて勉強する方に非常におすすめの一冊です。
【合格体験記から引用】参考書の組み合わせ
実際に基本情報に合格した人がどのような参考書を組み合わせて活用する事で合格したのか知る事は非常に重要です。
合格者の属性や知識レベルを意識しつつ、参考にしてみると良いでしょう。
【事例①】 知識0から3ヵ月で合格(IT業界コンサルタント)
利用した参考書:
①キタミ式②情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者【科目B】③過去問受験前の知識レベル:
私立文系大学卒実務経験なし。IT知識ゼロの状態から学習。
学習方法:
科目A試験の勉強は「キタミ式」でIT基礎知識をインプットし、「過去問道場」で過去10年分の問題を解きました。
科目B試験では、まず「情報処理教科書 出るとこだけ」を1周して午後問題の解き方を学習し、2周目で間違えた箇所を集中的に学習しました。学習時には長めの時間を確保し、1問を丁寧にじっくりと解く事を意識して学習を進めました。
【事例②】 基礎知識がある状態から1年間で合格。(通信業界営業社員)
利用した参考書:
①基本情報技術者パーフェクトラーニング過去問題集
②アルゴリズム×擬似言語トレーニングブック
③うかる!基本情報技術者【科目B・アルゴリズム】福嶋先生の集中ゼミ受験前の知識レベル:
ITパスポート試験に合格済みのため基礎知識はあり。アルゴリズムについての知識はゼロの状況から学習。
学習方法:
科目A試験から勉強を開始し、YouTubeの解説動画サイトをざっと見てノートにまとめた後に、最新の「パーフェクトラーニング過去問集」を購入し、2~3周取り組みました。
科目B試験では、科目Aの試験範囲を一通り終えた後に勉強を開始しました。YouTubeでアルゴリズムの解説をしている動画を確認し、練習問題があれば、まずは自分で考えて回答し、解説を見るという流れで行いました。アルゴリズムの練習問題は数が限られるので、少しでも多く問題に触れられるよう、過去問も計3冊解きました。
参考情報:
通信業界の営業社員が1年間(300時間)で基本情報技術者試験に合格 – みんなのIT資格
【事例③】 別業界社会人が6ヵ月で合格(公務員)
利用した参考書:
①いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集
②徹底攻略 基本情報技術者の午後対策 Python編 第2版
③かんたん合格 基本情報技術者過去問題集受験前の知識レベル:
私立文系大学卒実務経験なし。IT知識ゼロの状態から学習。
学習方法:
科目A試験は「いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集」を3ヶ月くらいかけてテキストを2周して頭に入れる事に集中して学習しました。科目B試験では、アルゴリズムは「かんたん合格 基本情報技術者過去問題集」等の回答例を見ながら丁寧に紙に解き方を書いて出題形式に慣れる事で学習しました。プログラミング言語は、「徹底攻略 基本情報技術者の午後対策 Python編 」を読みながら実際にパソコンを使ってプログラムを動かしてみながら覚える事で学習しました。
その他の合格体験記を参考にしたい方がおりましたら、ぜひこちらの記事をご覧ください。

まとめ
参考書選びは合格までの道のりを大きく左右します。
最新の試験傾向への対応や自分の知識レベルを踏まえた上で参考書を選択するようにしましょう。
また参考書選びにおいて、様々な合格者の利用した参考書を知る事は大きな判断材料になります。
実際に基本情報技術者試験に合格している方の声を反映している本記事を参考に、ぜひ自分に合った参考書探しをしてみてください。