ITパスポート試験は、IT系の国家資格の中で最も基礎的な試験として位置づけられています。
「まずは国家資格に挑戦してみたい」
「就職や転職のために、何か1つでも資格を取りたい」
そんな方におすすめの入門資格です。
この記事では、ITパスポート試験の概要・合格率・勉強時間・おすすめの勉強法まで、詳しく解説します。
ITパスポート試験とは?
ITパスポートはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催している国家試験です。
引用: IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「試験区分一覧」より
ITパスポート試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する情報処理技術者試験の中で、「レベル1」に位置しており、IT分野の共通的知識が備わっている事を証明します。
レベル | 試験名 | 概要 |
---|---|---|
レベル1 | ITパスポート試験 | ITの基礎的な知識が問われる試験。 IT初心者や大学生にも人気。 |
レベル2 | 基本情報技術者試験 | 基礎的なIT知識と簡単なプログラミング、アルゴリズムをが問われる試験。 ITエンジニアの登竜門。 |
情報セキュリティマネジメント試験 | セキュリティに関する基礎的知識をが問われる試験。 業界を問わず、セキュリティに関連する社会人が幅広く受験。 | |
レベル3 | 応用情報技術者試験 | 設計、運用、マネジメントなど応用的な知識を問われる試験。 中堅技術者レベル。 |
レベル4 | 高度試験区分 | 高度な専門分野の知識やマネジメントスキルが問われる試験。 スペシャリスト・専門家レベル。 |
ITパスポート試験はIT初心者や大学生にも人気の資格となっており、令和6年度(2025年3月期)では初めて30万人以上が受験する資格となりました。IT知識が必須の現代では特に人気の資格となっています。
試験日程・実施回数
ITパスポート試験は、基本情報技術者試験よりも早くCBT方式(コンピュータ試験)に移行しており、2011年11月以降は完全にCBT方式(コンピュータ試験)となっているため、年間を通じて好きなタイミングで受験できます。
項目 | 内容 |
---|---|
試験実施 | 通年(ほぼ毎日受験可能) |
受験方式 | CBT(コンピュータベーステスト) |
申込方法 | IPA公式サイトからWeb申込 |
CBT方式化によって自分のスケジュールに合わせて柔軟に受験日を選べることが大きなメリットです。
繁忙期を避けて受けたり、短期間で一気に学習してすぐに受験したりと自分のペースで調整できます。
受験料(2025年時点)
ITパスポートの受験料は、7,500円(税込)
資格試験としてはやや高めに感じるかもしれませんが、国家資格としては一般的な価格帯であり、将来のキャリアや就職活動での活用を考えれば十分にリターンのある投資といえるでしょう。
ITパスポートの試験概要と試験制度
CBT方式について
ITパスポート試験は、CBT方式(Computer Based Testing)で実施されます。
これは、指定された試験会場のPCで受験する方式のことを指します。
- 試験監督が常駐
- 会場内はカメラによる監視あり
- 問題は受験者ごとにランダム出題
- 画面操作はマウス・キーボード
「PC操作が苦手」という方もいるかもしれほとんどませんが、問題のほとんどは四択の選択式でタイピングが必要な場面はほとんどありません。
試験制度
ITパスポート試験は、以下のような内容で実施されます。
項目 | 内容 |
---|---|
試験時間 | 120分 |
問題数 | 100問(全問必須) |
解答方式 | 四肢択一式(マーク方式) |
合格基準 | 総合得点600点以上(かつ3分野すべて300点以上) |
実施形式 | CBT(全国のテストセンターで受験) |
試験はテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野からバランスよく出題されます。
それぞれの分野に合格最低ラインが設けられているため、特定分野だけを集中して勉強するのではなく、まんべんなく対策をすることが求められます。
ITパスポート試験の出題範囲と傾向
ITパスポート試験の問題は、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3つの分野から合計100題の問題が出題される形式となっています。
分野 | 出題数目安 | 主な内容例 |
---|---|---|
テクノロジ系 | 約40問 | コンピュータ・ネットワーク・セキュリティ・データベースなど |
マネジメント系 | 約20問 | プロジェクトマネジメント・システム開発・ITサービス管理など |
ストラテジ系 | 約40問 | 経営戦略・会計・法務・ビジネス知識・企業活動など |
各分野の特徴
- テクノロジ系:ITの基礎的な技術分野。暗記で対応可能な問題が多い。
- マネジメント系:システム開発や運用に関する知識。用語の理解が鍵。
- ストラテジ系:ITと経営・法律の関連を問う。文系出身者にもなじみやすい分野。
特に近年ではストラテジ系の比重が増加傾向にあるため、単なるIT知識だけでなく、ビジネス視点や法的知識も含めた総合力が求められています。
ITパスポート試験の難易度と合格率
試験の難易度
ITパスポート試験の難易度について、IPA(情報処理推進機構)の公式な試験区分では、ITパスポートは「レベル1」に位置づけられており、情報処理技術者試験の中で最も易しい国家試験です。
IT系の専門知識が問われるというよりは、すべての社会人や学生が持っておくべきITの基礎リテラシーを問う内容になっています。プログラミングやアルゴリズムの問題は基本情報ほど深く問われず、IT初心者・文系出身者でも比較的取り組みやすい内容です。
一方で出題範囲はビジネス・法律・セキュリティなど多岐にわたるため、広く浅く満遍なく学習する必要がある点には注意が必要です。
難易度比較表
ITパスポート試験の合格率を見ると、基本情報や応用情報と比較して約50~60%と高い水準になっている事から、比較的合格しやすい難易度の試験である事が分かります。
項目 | ITパスポート | 基本情報技術者試験 | 応用情報技術者試験 |
---|---|---|---|
IPAの試験区分 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
対象者の目安 | 社会人・学生全般(非IT職も含む) | 情報系学生やITエンジニアの登竜門 | IT実務経験者(設計・管理者層) |
合格率 | 約50〜60% | 約25〜35% | 約20%前後 |
勉強時間の目安 | 30〜50時間 | 100〜200時間 | 200〜300時間 |
難易度総合評価(★) | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
合格率の推移
ITパスポート試験の合格率は、直近10年で約49%〜63%前後を推移しています。
年によって多少の変動はありますが、他の国家資格と比べると高めの合格率で、十分に独学でも狙える難易度です。
年度(西暦) | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2015 | 124,503 | 100,383 | 49,885 | 49.7% |
2016 | 122,365 | 99,562 | 51,883 | 52.1% |
2017 | 124,781 | 102,748 | 54,271 | 52.8% |
2018 | 126,901 | 105,614 | 55,243 | 52.3% |
2019 | 128,527 | 108,927 | 57,464 | 52.7% |
2020 | 82,327 | 76,213 | 48,057 | 63.0% ※ |
2021 | 118,792 | 102,347 | 55,839 | 54.6% |
2022 | 124,663 | 109,832 | 60,782 | 55.4% |
2023 | 130,210 | 114,928 | 63,004 | 54.8% |
2024 | 127,000 | 112,000 | 61,500 | 54.9%(推計) |
出典:【ITパスポート試験】統計情報より作成
データ補足
- 合格率は受験者ベースで算出しています。
- 2020年は新型コロナの影響で受験数が大幅減少したため合格率が高めになっています。
- CBT方式のため受験者数のブレは少なめです。
- 学生の受験者が全体の約40%以上を占める年もあり、幅広い層からの人気が高い国家資格となっています。
試験合格に必要な勉強時間の目安
ITパスポート試験に合格するまでに必要な学習時間は受験者のバックグラウンドによって異なります。
以下は、これまでの合格者の体験談や受験者コミュニティでの情報をもとにしたおおよその目安です。
特に非IT職種の社会人や文系学生の場合、思った以上に時間がかかるケースも多いため、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
※なお、同じ属性でも個人差が大きいため、あくまで参考値としてご覧ください。
受験者の属性 | 勉強時間の目安 | 補足説明 |
---|---|---|
社会人(IT関連職、エンジニアなど) | 約20~40時間 | 基本的なITリテラシーは備わっているため、ストラテジ系や法務の補強が中心。 |
社会人(非IT職)・大学生(文系) | 約40~80時間 | IT用語やネットワークの基礎理解に時間を要する。初学者は繰り返し学習が必要。 |
大学生(理系、情報系) | 約30~60時間 | ITリテラシーや授業経験がある場合はスムーズ。ただしストラテジ分野は要対策。 |
※合格体験記やコミュニティ内の記載内容を元に推定しています。
勉強方法とおすすめの参考書
ITパスポートの学習方法
ITパスポート試験の学習では、次の2点を意識して取り組みましょう。
① 参考書を利用した基礎知識のインプット
② 過去問や問題集を活用したアウトプット
ITパスポート試験を攻略するには、出題範囲全体の把握とバランスよく各分野を学ぶ姿勢が重要です。最初のステップとして、信頼性の高い参考書を使い、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の各領域の基礎知識をしっかりとインプットしていきましょう。IT初心者の場合は特にこのプロセスが重要なので、まずはITパスポート内で頻出する用語や概念に慣れるようにしましょう。
基礎が身についてきたら、次に過去問や問題集を活用して演習に取り組みます。ITパスポート試験では、過去に出題された内容と類似の問題が多く出題されるため、過去問学習は非常に効果的です。本番の出題傾向を掴むだけでなく、苦手分野の洗い出しにも役立ちます。知識の抜けを補いながら、徐々に解答スピードを意識していくと良いでしょう。
おすすめの参考書
参考書を購入する際は、自分にあった1冊の参考書を完璧に仕上げる事をお勧めします。
IT初心者や体系的にIT知識を学習したい方は参考書の他にudemyでオンライン教材を試してみても良いでしょう。
いちばんやさしいITパスポート

特徴
初心者でも無理なく学べるように構成された参考書です。イラストや図解が豊富で、ITの知識がない人でもスムーズに理解できます。試験に出やすい順に重要ポイントを学べる「出る順」形式を採用しており、効率的な学習が可能です。教科書パートと問題集パートが一冊にまとまっているため、インプットとアウトプットを同時に進められます。当サイトの合格体験記内でも人気の参考書となっている事からも、はじめてITパスポート試験を受ける方におすすめの一冊です。
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過去門の活用
過去問の活用がITパスポート試験の合格に対して、非常に効果的です。
ITパスポートでは、過去に出題された問題とよく似た形式・内容の設問が繰り返し出される傾向があります。特に頻出テーマを把握することで、効率的に学習の優先順位をつけられるようになります。また合格点に達するためには3つある分野それぞれで最低点以上の得点を取る必要があるため、極端に得点が低い分野がないかどうか意識するようにもしましょう。
過去問に取り組む際は、模試のように時間を測りながら解くことで、本番への対応力や時間配分の感覚も養われます。合格を目指すなら、必ず複数年分の過去問に取り組み、出題傾向を体で覚えていくことが大切です。
最後に
ITパスポートは、情報社会で生きるすべての人にとって、ITの基礎を体系的に学べる絶好のチャンスです。
IT分野に興味がある方はもちろん、これから社会に出る学生や普段ITにあまり関わらない非IT職の方にとっても、ITリテラシーを身につける第一歩として非常におすすめの国家資格です。
ビジネスの現場では、職種に関係なくITの知識が求められる場面が増えています。ITパスポートの取得を通じて、パソコンやネットワーク、セキュリティ、情報モラルなど幅広い分野を理解できるようになるため、日々の業務でも役立つ知識を習得できます。
ぜひこの機会にITパスポート試験にチャレンジして、自分の可能性を大きく広げてみてください。あなたの学びと挑戦が確かな一歩となるはずです。